T君


ちょこりんと私の膝に座って、足をぶらんぶらんしながら
つぶらな瞳で私の読む絵本を見つめるT君を見て思います。


もし将来T君が悲しむような事があったら、傷つくような事があったら、
どんなに私の心は痛むだろう。


こんなに無邪気で純粋なT君を苦しめる事があったら、
どんなに私は悲しいだろう。


でも、悲しむ事も、傷つく事も、苦しむ事も決して悪い事じゃない。
生きていく上で、人が成長する上で必要な事。
T君がT君の力で乗り越えて行かなくては行けない事。


母親として、してあげられる事はただ側で見守ってあげるだけ。
でもやっぱり願ってしまう。
どうかT君がひどく傷つく事がありませんように。
どうかT君が立ち直れなくなる程苦しむ事がありませんように。